炭坑記録画の数々
排水、通気

揚水法
昭和40年5月

 卸し下がり(の揚水法)。明治時代はスペシャル・ポンプ(を使用の)後、エバンス・ポンプという小形のスチーム(蒸気)ポンプ(を使用していた)。(明治時代の掘進は)ノミを用いて人力で行っていた。釣函は柱で止めていた。大正中期より、電気ポンプのトラック・ポンプ、スリースロー・ポンプの後、昭和になって、デートン・ポンプなどが出た。
 大ヤマの日鉄は、大正初めよりウォーシントン・ポンプを圧搾空気(エアー)にて運転。場所によってはゼット・ポンプを使用。昭和になってオーガのみもエアーで使用。小ヤマは圧搾空気機がないので、オーガは電力であった。(したがって小ヤマは)キャップタイヤが多くいる。
 
 (ガス爆発を誘発する電気ではない圧搾空気は)ガス追放、換気にも役に立つ。圧搾空気は万能である。大手ヤマの場合。

 (左の絵は)十馬力以上の普通電気を用いたタービン・ポンプでの卸からの揚水法。途中に函タンクを据え、それにゼット・ポンプで(地下水を)あげる。電気ポンプ(ここではタービン・ポンプを指す)の押上げ圧力で水を送り、(その水圧を使って)ゼット・ポンプが(水を)押し上げる仕掛けもあった。(容積)十立方(の函タンク)から五立方(の水を)あげる。



※卸し下がり 卸方向(炭層の傾斜に沿って下る方向)へ掘進すること。
※釣函    吊函。坑道の丈夫な柱や函止めを取り付けて炭車を支え、ボタ積みなどすること。
※ゼット・ポンプ 圧搾空気や水圧の高い水の噴射で揚水する噴射ポンプで、水のでる卸掘進に使用する。容積が小さく運転部分がないので、軽便である。
※オーガのみ  オーガー。小形原動機付きのらせん状の錐で、穿孔時に使用する。
※キャップタイヤ 移動しながら電力を供給するケーブル。

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