炭坑記録画の数々
坑内労働(仕繰)

切上げ仕繰
昭和40年4月

 昔のヤマ人、キリアゲシクリ。重圧により枠は折れ壁もカヤリ(崩落して)、(坑道は)低く、狭くなる。函(炭車)も通らない。(このような場合)早速ベテラン仕繰方に修理させる。仕繰夫はツカナリ、ハネナリなど、巧みに応用してなるべく速く、ボタを落とさないように(天井を)切上げ、(壁を)切広める。頭と熟練がものを言う(作業である)。后山もボンヤリしていては、間に合わない。(先山が)釘と言えば、金槌(も差し出し)、鍋と言えばフタというような機敏さが、(後山には)必要。

 ~あなた百まで わしゃ九十九まで ともにシダミが コジルまで
ゴットン ドッコイ



※キリアゲシクリ  切上げ仕繰。圧力が来て低くなった坑道の天井を切り落として、所定の高さに修理すること。単に切上げともいう。
※仕繰方   坑道などの保全のため、修理を行う者。仕繰夫、または単に仕繰ともいう。
※ツカナリ  束柱。落下の危険がある場所に、仮に支えるために入れる数本の短い柱。
※ハネナリ  ハネ成木。天井を一時支えるため、手前の枠より差し出して、先をはねあげる時に使用する成木(小さい坑木)のこと。
※后山    後山、後向き。先山の補助者。
※シダミがコジル  シラミがこじる。白髪(シラガ)で一杯になるまでともに長生きするという意味で、シラガをシラミに読み替えた。

<<前の記録画  次の記録画>>

12|3|45678910| 次の10件>>

3/20