炭坑記録画の数々
運搬(坑外)、選炭

ヤマの坑口
昭和42年2月

 明治、大正、昭和のヤマの坑口(はしりこみ)での「差し戻し」。坑内のマキタテと同じ設備であるが、捲き揚げた実函をサシて空函を捲き揚げるから、(実函と空函の位置が)正反対になる。このやり方は、コース(の位置が変わらず)常時函から離れないので、逆走の憂いがなく、安全第一であった。
 日鉄のような大手ヤマは、鉄骨桟橋を架けて捲揚機を高く据えて、選炭機に(石炭を)直接流し込むようにしていたが、中小のヤマではそんな大規模なことはできない。一度低地に(実函を)流し込むところが多かった。もっとも、高地の場合である。

 六函捲きの電気捲機は六〇馬力くらい。蒸気(捲機)はピストン12インチ以上。ボタ(を積んだ)函は石炭の一.五倍の重さ。






※はしりこみ 走り込み。坑口の傾斜になるところ。
※差し戻し  捲き揚げた炭車をいったん高く引き上げて、本線へ流し込むこと。
※マキタテ  捲立。捲卸から片盤曲片への入口で、空函を実函に連結しかえて捲き上げる場所。
※実函    石炭を積んだ炭車。
※サシ    差す。傾斜軌道で炭車を下方へおろすこと。
※コース   炭車を連結する金具。

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