炭坑記録画の数々
縁起、迷信、禁忌

ヤマと狐(猟師)
昭和40年6月

ヤマと狐 野狐とも云う この茶色の動物が萬物の霊長と誇る人間様を欺したり、憑(ツ)いたりして悩ましていたから摩訶不思議である。 嘉飯地区では屠場の藤助トオスケ、飛川とも云う)伊川の三造、弁分(レンブン)のおさん、烏尾峠の吉助、えらの狐が大ボスで普通の狐は嘉穂、田川の人家近くでもウヨウヨ蠢うごめでいた。 狐は猟犬に追われて危くなるとズンド屁(へ)を放す最期屁(サイゴベ)とも言う。これを一発くらうと流石の猟犬もフラフラになり、坐ってしまうと言うその間に悠々と山中に迯れるらしい。又すべて逃走中危険区域を越すと一歩一歩何回も后ふりむいて見るのが狐のクセである。 狐が人に憑いて喋舌(シャベル)のが面白い此の世で恐いものは片目で肱のまがっておる人が一番怖いと言う事である。アタリポンつまり猟師(ハンター)がコワイと言うていたらしい。

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