炭坑記録画の数々
運搬(坑内)

コース
昭和40年2月

 明治時代からのコース。ワイヤーロープは、直径32㍉ぐらいまでは、42本(六、七(㍉?)×四十二本)のワイヤーをよっている。鋼鉄製(のロープ)は最小径20㍉まであるが、それ以下は亜鉛ロープになっている。32㍉以上は72本のワイヤーをよっているから、ロープが太い割には扱いやすい。前記32㍉ワイヤーは太いので、固くて扱いにくい。中ヤマ(のロープ)は径26㍉ぐらいだが、小ヤマは23または20㍉が多い。

 本線巻のコースはロープのワイヤーを42本にほどき、塩酸で洗った後に石灰汁で洗う。(ロープは)あたためてホワイトメタルのバベットにつけてメッキする。コースに(メッキしたロープを)引き入れ、ともにあたためてバベットを流し込む。バベットで固めたコースは、絶対に(ロープが)抜けず、完全である。ただし、ロープが規定以上に古いと、コース元の三.五㍍が危ない。

 袋コースで坑内巻の場合、火気厳禁であるので、(バベット充填をせずに)生のまま(ロープを)曲げて(コースに)引き込む。(ロープの)麻芯に鉄の勾配釘を打ち込む。42本のワイヤーを段々に切り揃えるが、ペンチでは切れない鋼鉄線なので、片手ハンマーとタガネで切る。

 坑内引込コース(の入れ替え)は、一時間半や二時間かかる人もいたが、私は三十分で入れ替える工夫をした。32㍉ロープ以下は昭和十五年まで(使用した)。

 割りコースは、明治時代から小ヤマでは現今でも使っている。ロープを折り曲げて四本の鋲でかしめる(補強して締める)。
 割りコースのコース切替は、ロープを焼いて滑らかすので、ベテランでも(切替に)一時間か三十分はかかる。

 大正時代のもの(コース)であるが、重量があるので棹取りも嫌い、コース切替にも手間がかかるので、すぐになくなり今は姿なし。

 大正時代より現今も使用している袋コース。前記のとおり、トックリ(コース)と言う人もいた。引込孔(ロープが入る部分)は七吋(インチ、約18㌢)から十吋(約25㌢)ぐらいある。取り出しつくりで、(ロープの)沸かし付け(バビットによる流し込みか)はしない。

 竪坑コース。内部はバベット充填。

 日鉄中央坑(竪坑巻き)(のコースは)割りコースで、カラー(コースの巻き金具)は焼き嵌め。





※コース 捲綱(ロープ)の先端に取り付けた、炭車連結用の金具。
※ホワイトメタルのバベット バベットはバビットメタルのことで、両者とも軸受け合金
の一種。
※袋コース  徳利状の頑丈な連結金具。
※棹取り   坑内から石炭を巻き上げるため、炭車の操作をする運搬夫。

<<前の記録画  次の記録画>>

<<前の10件 31|32|3334

32/34